成果報告・発表

研究論文

エンパワメントとしての市井のアートセラピー活動――全国実態調査から見えるその内発性と自律性
(甲南大学人間科学研究所紀要vol.16、2015、pp.105-130 に掲載)

兼子一(書評):藤澤三佳著 『生きづらさの自己表現:アートによってよみがえる「生」』
(関西社会学会『現代社会学フォーラム』vol.15、2016、pp.119-122 に掲載)

石原みどり:日常に根ざすアートとアートセラピー
(大阪大学美学研究室『a+a 美学研究』vol.10、2017、pp.96-109、ISBN:9784944055890 に掲載

*学会等での発表*

(1) 2012年11月3日 第83回日本社会学会 於札幌学院大学
 ポスターセッション報告(兼子・石原)
「標準化と再魔術化のはざまで ―アートセラピストへの全国調査より―」
【内容】我々の調査研究のベースとなる甲南大学人間科学研究所の先行調査の成果を分析し、今後の調査 研究の布石とする。

(2) 2013年3月2日 日本社会理論学会研究例会 於滋賀大学
 口頭発表(兼子)
「現代社会におけるアートとセラピーの親和力―アートセラピスト実態調査から見えるその位相―」
【内容】先行調査および我々のプレ調査をもとに、日常生活に近い「アート」と「セラピー」とが結びつく様を分析し、市井のアートセラピストの社会起業家としての活動形態の典型を示した。

(3) 2013年5月19日 第64回関西社会学会 於大谷大学
 口頭発表(兼子)
「『なんちゃってアートセラピー』考─アートセラピーの全国実態調査より─」
【内容】日常生活に拡がる気軽なアートセラピーの非専門的=非医療的な側面に着目して「なんちゃって
 アートセラピー」と挑発的に名付け、その実態と有効性を示し、社会的な位置付けを行った。

(4) 2013年11月23日 甲南アーツ&セラピー研究会 於甲南大学人間科学研究所
 口頭発表(兼子・石原・小村)
「『アートセラピーの全国実態調査』中間報告」
【内容】我々の調査研究の概要と調査方法、2013年4−5月のアンケート調査および6月開始の事例調査(インタビュー調査)の成果について、中間報告を行った。個々の活動家のユニークさや異なるあり方が、アートセラピー概念を広げるものであり、調査研究への期待が高まった。

(5) 2014年3月19日 同志社大学人文科学研究所 第18期 第11研究 2013年度3月研究例会 於同志社大学
 口頭発表(石原)
「アートと社会のオルタナティヴな関係―アートセラピーの全国実態調査より―」
【内容】アーティストやキュレーターなどが介在するいわゆる「アート」(作品化を目指すもの)が地域社会や実際の生活に関与し、関係していくあり方と、アートセラピーの社会との関係の仕方の相違を比較し、(作品化を目的としない)アートのあり方、アートの力、社会における意味を考察する。

(6) 2014年9月30日 第127回日本社会分析学会・例会 於九州大学
 口頭発表(兼子)
「アートがもたらすエンパワーメント(*)の意義 ―『アートセラピーの全国実態調査』から見える姿―」
(*)この時点では「エンパワーメント」としていたが、近年は「エンパワメント」と表記する流れにありそれに従う。
【内容】市井で展開されるアートセラピーをより積極的に「エンパワメント」として捉えることを試みた。 市井のアートセラピーは、医療サイドのアートセラピーを起点としてそれが他領域に応用・拡大したというよりも、アートが本来持つセラピューティックな機能に基づき、実践の中から内発的・自律的に展開したものと説明できる。つまり病圏の患者に対する療法とは、その目的や存立基盤が異なる。 既存の制度や枠組に囚われない自由なアートセラピー活動は、各現場に即した成果を得ており、今後の展開が望まれる。しかし、回答者の約8割がボランティアベースの活動であり、職業としての成立が困難で、活動の持続可能性の阻害要因となっている。新たな担い手が育成され、活動が継続・発展していくためには、アートセラピー活動の意義や効を示す指標・尺度の整備、職業適性に関する議論や人材育成の整備など、この活動を社会資源として位置付ける方策が必要である。

(7) 2014年9月27日 宗教社会学の会・定例会 於大阪国際大学
 口頭発表(兼子)
「ありのままの自分になるの♪ ―アートセラピー全国調査から見える現代の『自己のテクノロジー』について―」
【内容】市井のアートセラピーで目指されることの一つが「ありのままの自己を肯定し、人間性・主体性を回復すること」である。これは2014年に大ヒットしたディズニー映画『アナと雪の女王』の「Let it go (レリゴー)」に象徴される現代社会の現象に呼応している。そのあり方は、心理カウンセリングに基づくセラピー文化に根ざしたものというより、エンパワメントと見なした方が適切に思われ、新しい社会運動としてとらえることも可能である。

(8) 2014年11月22日 第85回日本社会学会 於神戸大学
 口頭発表(石原・小村・兼子)
「アートセラピーの全国実態調査」
 (1)─調査結果の概要と分析─
 (2)─内発的かつ自律的に展開する市井のアートセラピー活動─
 (3)─ソーシャル・ベンチャー(社会的起業)としての持続可能性と課題─
【内容】アートセラピーについて周知させることを念頭に、これまでの研究成果を報告した。
 要旨は報告(6)を参照。

(9) 2014年11月29日 第46回日本芸術療法学会 於名古屋大学
 口頭発表(兼子・石原・小村)
「アートセラピーの全国実態調査」
 (1)日常生活圏域に拡がるアートセラピー活動の現状について
 (2)コミュニティを支えるアートセラピー:社会資源としての可能性と課題
 (3)アートセラピーをエンパワーメント活動として再定義する
【内容】市井のアートセラピー活動の拡がりと意義と課題を周知することを念頭に、これまでの研究成果を報告した。要旨は報告(6)を参照。

(10) 2015年09月19日 第88回日本社会学会 於早稲田大学
 口頭発表(兼子・小村・石原)
「エンパワメント型アートセラピー活動をどう育てるか:構成要件と評価基準の確立にむけて『エンパワメント』のあり方を問う

(11) 2015年11月29日 第47回日本芸術療法学会 於目白大学
 口頭発表(兼子・小村・石原)
「『エンパワメント型アートセラピー』の可能性と課題:構成要件の解明と評価基準の開発にむけて『エンパワメント』概念を考える

(12) 2017年11月03日 第90回日本社会学会 於東京大学
 口頭発表(兼子)
「エンパワメント型アートセラピーの社会的構築:心理療法・芸術諸学・エンパワメント科学と社会学との対話」

(13) 2017年11月04日 第90回日本社会学会 於東京大学
 口頭発表(小村・石原)
「エンパワメント型アートセラピーの構成要件と評価方法:その適用範囲と可能性」

(14) 2017年12月17日 アートミーツケア学会京都大会 於京都市立芸術大学
 口頭発表(兼子)
 「エンパワメント型アートセラピーの可能性と展開にむけて」

(15) 2018年06月03日 第69回関西社会学会 於松山大学
 口頭発表(兼子)
「「アート」に何を見るか? :実態調査が示すアートとエンパワメントの関係性」

(16) 2018年09月02日 第13回日本社会理論学会 於愛媛大学
 口頭発表(兼子)
「『アート・エンパワメント』概念の理論的可能性とその検討:鶴見俊輔『限界芸術論』から見る社会・文化・芸術的位置」

(17) 2018年11月04日 アートミーツケア学会東京大会 於京都市立芸術大学
 口頭発表(兼子)
 「エンパワメント型アートセラピーの評価方法・評価基準について:自己評価は有効か?」